翠色(すいしょく)/弁柄色(べんがらいろ)

日本の色を愉しむ寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

翠色(すいしょく)

冬の鳥カワセミは、美しく輝く渓流の宝石と呼ばれ、その羽色は緑青や紫がかった青色まで幅広い。漢字で翡翠と書き、雄を翡、雌を翠という。カワセミの名の由来は青土(そに)で、川に棲むセミが語源。セミが青土に変化したといわれる。『古事記』に「そにどり青き御衣」とあり、青は緑を意識した言葉だったことがわかる。古名は鴗(そにどり)、川蝉とも書く。

C100 M0 Y63 K30

弁柄色(べんがらいろ)

赤みの強い茶色。鉄分を多く含んだ土は、赤色顔料として用いられてきた。弁柄はインドのベンガル地方の赤土によるもので、戦国時代に南蛮貿易によって日本にもその顔料や製法が伝わったといわれる。弁柄というのはベンガルの当て字で、インディアン・レッドの日本語名だとされている。当時、誕生した赤土を練り込んだ漆喰壁を「弁柄壁」と呼ばれ、現在に伝わる。紅柄色、紅殻色とも書く。

C18 M80 Y79 K40