季節の彩り、日本の色を愉しむ

コピーライター 橋本繁美氏の寄稿記事。

「鶯色(うぐいすいろ)」「東雲色(しののめいろ)」「萌葱色(もえぎいろ)」「茜色(あかねいろ)」「利休鼠(りきゅうねずみ)」など、字面を眺めているだけ美しい響きと趣を感じさせてくれる日本の伝統色。色に抱くイメージは人それぞれ異なると思うが、こうした和の色を目にすると、どこか懐かしく安心感を憶えるのは、きっと日本人のDNAに和の色が刻みこまれているからだろう。私たち日本人が古より、季節の移り変わりを空や植物から感じ取り、自然とともに生きてきたことが感じとれる。四季の豊かさ、それを愛でてきた日本人の心が見える、そんな和の色をシリーズで紹介。

季節の彩り、日本の色を愉しむ

桜鼠(さくらねずみ)/小豆色(あずきいろ)

寄稿者:橋本繁美 桜鼠(さくらねずみ) 京都市内の桜も少しずつ咲き始めた。春は桜三月、咲けば咲いたで雨や風といった天気がきになる。さて、桜鼠とは、淡い紅色が灰色あるいは灰色みをおび、わずかにくすんだ薄い桜色のことをいう...
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桜色(さくらいろ)/灰桜色(はいざくらいろ)

寄稿者:橋本繁美 桜色(さくらいろ) 日本人にこよなく愛される桜。桜色とは桜の花のような淡い紅色。紅染でもっとも淡い色。『万葉集』には奈良時代の花見は梅だったが、『古今和歌集』では平安時代に花といえば桜を指すようになっ...
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柳色(やなぎいろ)/青柳(あおやぎ)

寄稿者:橋本繁美 柳色(やなぎいろ) 見渡せば 柳桜をこきまぜて都ぞ春の 錦なりける 古今和歌集 都の春の景色を美しい絹織物、錦であると詠んだ素性法師の歌。黄緑色の明るい柳色は桜色とともに、日本の春を代表する色...
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桃紅色(とうこうしょく)/長春色(ちょうしゅんいろ)

寄稿者:橋本繁美 桃紅色(とうこうしょく) 桃の花といえば、女の子のための「桃の節句」。別名「上巳(じょうし)の節句」。上巳とは最初の巳の日のことで、災厄に見舞われやすいとされ、平安貴族たちは自分の穢れや災いを紙人形に...
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水色・水縹(みずいろ・みはなだ)/薄紅赤(うすべにあか)

寄稿者:橋本繁美 水色・水縹(みずいろ・みはなだ) 雪解け水、やわらかな春雨、陽光を反射する海。春は美しい水で満ちあふれている。古くから親しまれた色で、清冽でさわやかな印象がある。『万葉集』巻十六に「水縹の絹の帯を 引...
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今様色(いまよういろ)/鶯色(うぐいすいろ)

寄稿者:橋本繁美 今様色(いまよういろ) 今様色とは「当世流行の色」という意味で、平安時代に流行した色のこと。当時の貴族にも愛好された元祖トレンドカラー。紅花染めによる紫みの強い赤色。『源氏物語』に光源氏が最愛の妻、紫...
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東雲色(しののめいろ)/桃色(ももいろ)

寄稿者:橋本繁美 東雲色(しののめいろ) 春はあけぼの やうやう白くなりゆく山際 少し明かりて 紫だちたる雲の細くたなびきたる  『枕草子』清少納言春は夜がほのぼのと明けようとする頃がよい。日が昇るにつれ、だんだんと白...
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白梅鼠(しらうめねずみ)/若草色(わかくさいろ)

寄稿者:橋本繁美 白梅鼠(しらうめねずみ) 白梅を思わせる微かに紅みのある淡い灰色。江戸時代は、茶色とともに鼠色が濫用された時代であり、灰色という色名よりも鼠色のほうが広く用いられた。灰白色と同じ表現でも、鼠を使えばも...
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紅梅色(こうばいいろ)/猩々緋(しょうじょうひ)

寄稿者:橋本繁美 紅梅色(こうばいいろ) 梅の鮮やかな紅色。奈良時代以前は、花といえばその多くは梅をあらわしており、万葉の時代は梅の花は桜より好まれた。おなじみの『万葉集』に納められた120首ほどの梅の歌はいずれも白梅...
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韓紅(からくれない)/梅重(うめかさね)

寄稿者:橋本繁美 韓紅(からくれない) ひときわ鮮やかな濃い赤色。紅花(べにばな)エジプトやエチオピアあたりが原産地とされているキク科の植物。はるか昔、シルクロードを渡ってアジアにもたらされた紅花の由来を 「舶来」の意...
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