蘇芳(すおう)/紫苑色(しおんいろ)

日本の色を愉しむ寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

蘇芳(すおう)

蘇芳とは、黒みを帯びた赤色のこと。「蘇方色」「蘇枋色」とも呼ばれる。蘇芳とは染料となる植物の名前で、インド、ビルマ、マレー半島に生育する熱帯地方原産のマメ科の落葉小高木。その樹木の芯には赤色の色素が含まれており、媒染剤に明礬(ミョウバン)を使うと「赤」、椿やヒサカキの灰汁を使うと「紫みの赤」に染まる。

C51 M93 Y58 K10

紫苑色(しおんいろ)

紫苑の花の色のような少し青味のある薄紫色。紫苑は秋に咲く、2メートルほどの丈の高くなるキク科の植物で、秋に薄紫色の美しい花を咲かせることから古くから好まれていた。その紫苑の紫根で染めた椿の灰汁で媒染したもの。古名を「のし」といい、平安時代には「しおに」とも呼ばれていた。

C55 M58 Y1 K0