52 綿やポリはあるけれど、意外とよく着る絹の着物

男と着物 - 回想録 -

投稿者:ウエダテツヤ

日常に着物を着るようになり、綿の着物をはじめ様々な着物を知った。それらがきっかけとなり自社規格品も製作するようになった。ただ、私の着物ライフを振り返ってみると海外旅行も例外ではなく、案外絹の着物もよく着ている。それは絹の着物からこの世界に入ったからかもしれないし、もともと大島紬を取り扱うその環境にあるのかもしれないけれど改めて考えてみた。

そもそも勘違いされているかもしれないが、それぞれの着物をシーズンのはじめに着る時、毎回懲りずに躊躇してはいる。出したら一回はクリーニング確定、着るだろうか、汚さないかしら、という恥ずかしながらクリーニング代とコスパへの躊躇である。それを乗り越えない着物(「今シーズンそんなに着ないな」「今日は雨降りそう」など)はタンスに返品され、次の機会を待つ。中には数年そのままのものもある。

たまにタンスの整理を兼ねて着ないものは洗い張りして端縫する。着ないものは大方着飽きたもので、解いてみると相当に傷んでいる事もある。もう一度仕立てるか悩んでいるものもあるが、絹の着物を解かずに処分する事があまりないのは所持するものの特性(ほとんど紬、裏表もない)も影響しているのだろう。

さて、前述の躊躇を乗り越え、そのシーズン一回着るとあとは「出したから着ないと損」みたいな、よく分からない動機も後押しして大方がかなりの着用頻度となる。そしてそういう着物が3、4枚あるとそれだけで「着る着物」枠がそこそこ埋まる、という仕組みだ。そうすると綿などいわゆる「家庭洗濯する」着物たちは出番が少なくなるので、それらは結局少しだけ着て終わるというルーティンになる。

シーズン途中で汚すと途端に汚した着物への着用意欲は削がれる。クリーニングに出して今シーズンは終わりにするという事もよくあるので、リセット機能のようなものだ。再び着るときはもちろん躊躇する事から始まる訳である。

汚さなければ毎日干す、というと聞こえが良いが、要は着る頻度が高いのでしばらく掛けっぱなし。結局タンスにしまわずにまた着る。そしてシーズン終わりにクリーニングに出す、という流れだ。クリーニングで言えば洋服のコートなどアウターと似ていて、Yシャツのような頻度ではない。

着用頻度に関しては好みの影響も大きく、手持ちの絹の見た目や着心地などが好きというところが大前提にある。大島紬や結城紬などは互いに風合いは違うけれどどちらも着ていてとても気持ちがいい。だから一度クリーニングするぞと決めてしまえば自然とたくさん着る。ほとんどの日は出勤して家に帰るだけなのでイベントの有無は私には関係なさそうだ。はじめに申し上げた通り、そもそも絹の着物から着物の世界に入ったのでそこへの抵抗が少な目だとも思うし、当社が綿着物を主製品とする企業だったならまた違っていたのかなとは思う。

なんだかんだ言って、結局私は絹の着物が好きなのだ。そしてそれは様々な素材の着物を着たからこそ改めて感じたこと。絹の着物の着用頻度も私なりのスタイルなのかなと思っている。

striper-tone ストライパー
最近私が気に入って着ている着物。反物の幅が狭い(1尺:裄1尺8寸8分=71.2cmまでしかでないのがデメリットだけれど。私は1尺9寸なので2分は妥協して着ている)

striper tone(ストライパー「トーン」)
反物 ¥49,500
サイズオーダー ¥73,700(単衣・海外縫製・居敷当付き)¥88,000(袷・海外縫製)

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