63 足袋をこする

男と着物 - 回想録 -

投稿者:ウエダテツヤ

41にもちらっと記載したが洋服にはないルーティーンが足袋をこするという作業だ。もちろん足袋によっては目立たないので必要ない場合もある。足袋が汚れやすいわけでもなく、ただ目立つからなのだけれど、靴を脱がないシーンも多いので気にならない人も意外と多いかもしれないなと投稿しながら思っている。

足袋の裏は多くが白い。白いのには意味があるだの中用は外用は云々カンヌン、そういう小話的なものもあるのだろうけれど、裏が白いから汚れが目立つ。この一点が昔から気に入らない(笑)。とはいえ着物を毎日着始めてしばらく経つまで、裏が白い足袋と共に過ごした私。家に帰ると洋服に着替えるのだけれど、大体足袋はそのままでお風呂に入る前などに脱ぎ、石鹸や洗剤をつけてブラシ(たわし)で擦るのが日課だった。

面倒くさがりな私だけれど、足袋の裏が汚れているのは何となく嫌(いわゆる潔癖症では全くないのだけれど)。裏以外は黒なので漂白もしにくい。昔から知らない間に裏が汚れることがよくあったので、脱いでキレイでも念の為手洗いしていた。洗剤には詳しい方もいらっしゃるだろう。私の経験上では泥汚れに強かったりする洗剤がキレイになりやすかった。けれどもそもそも洗濯が嫌いな私であるので、たわしで手洗いするそれに何かの罰を与えられているような気がして毎日擦りながら「すみませんでした」とその日を振り返って反省する時間になっていた。

足袋の裏はその日の行動を表している。裏が汚れるのには色んな要因があるけれど、よく考えると催事で使われる借り物の畳を歩いたとき(運が悪いと)凄く足袋が汚れることがあるなぁと最近になって気付いた。催事前に雑巾で拭いても一日その上をウロウロしていると汚れている箇所に知らぬ間に遭遇しているのかもしれない。拭いてなければ尚更だろう。色んなところ、目的で使われているだろうし、業者によっても様々だろうけれど私自身そういった催事に行かなくなってから足袋の裏が急に真っ黒になることは極端に少なくなった。しかし当時はそれに気付かなかったし、そうはいっても白に汚れは目立つ。とにかく毎日足袋をたわしで擦って「すみません」が私の習慣だった。

結局毎日毎日繰り返したけれどその習慣とお別れの時は来る。やっぱりどうしても面倒だった私はある日ハッと思いつき、裏が黒い足袋をネットで探して購入してみた。結果それ以降フォーマル以外で裏が白い足袋と袂を分かつことになった。その後さらに靴下へと私の足元事情は変わっていくのだけれどまたそれは別の機会に。

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