82 着物を掛けっぱなしにしたい私2

男と着物 - 回想録 -

投稿者:ウエダテツヤ

長押ありきのライフスタイルが出来つつあった2015年、引っ越すことになった(前回記事参照)。

引っ越し先となる分譲住宅。建てる前に提案された間取りを見ると和室がなかった。必要があったのかはわからないけれど、《着物→和→和室》という連想を頭の中で繰り広げた結果、やっぱり和室がないというのは何となく、何となくではあるけれど惜しいというか、ひっかかるというか。そしてそれ以上に長押がないのはもはや考えられないなと感じていたので、一部屋を和室にしてもらい、長押を付けてもらうことにした。

「和室を作ると長押は標準で付いてますか?」「いえ、ご希望であれば取り付けますよ」「着物を沢山掛けたいです」「ではある程度の重さも可能なようにしましょう」

そんなやり取りだった。

窓以外の和室の壁に長押をぐるりと付けてもらった。家を建てるうえで小さいあれこれ選択はあったけれど、完全に注文したのは長押だけだった。無意味そうな方向にも念の為取り付けてもらった。どれだけ好きなのかと自分でも思うけれど、壁際に背の高い家具を置かない限り本当は取り付けたい。

そんな我が家だったが子が生まれてから生活が変化し、他の部屋にも着物を掛けたり干したりしたくなった私。そもそも和室の長押も妻の着用率増加に伴い大渋滞となっていた。

さてどうしたものかと悩んだ末、部屋の壁から壁に突っ張り棒をすることにした。早速購入して取り付けたが、しばらく経ったある夜に突っ張り棒ごと眠っている私の上に落ちてきた。これではだめだと、突っ張り棒をさらに強く突っ張ったら、バキッと音がして壁が凹んで理解した。そういう壁でした。

それでも諦めたくなかったので、結局天井と床を使って物干し竿を作る方法で物干兼着物掛けを作った。それは部屋干しにも活躍して良かったけれど、着物を掛けるのならやっぱり長押のスマートさがいい。

部屋の壁を凹ませても着物を掛けたい私。なんて面倒くさがりなんだと思いつつ、あらゆる壁に長押があればいいのにと思っている。

※来週はお盆で投稿もお休みでございます。