寄稿80 入梅・時の記念日

寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

入梅(にゅうばい)

入梅とは、梅雨に入ること。梅雨入りのことを「栗花落(ついり)」とも。しとしと降る雨によって、栗の木がみごとに花が咲き散ることから、この字をあてたといわれる。ところで、みなさんは栗の花をご存じだろうか。機会があれば、ぜひ見てほしい。秋には美味しい栗の実をつける。特に、丹波の栗といえば日本一。京の和菓子には欠かせない逸品だ。入梅にも、梅雨にも「梅」の文字が使われているが、これは梅の実が熟す頃だからという説が一般的。日本人と梅の花、梅干し。なんだか、連想で日本刀が出てきそうだ。

梅雨は、旧暦では五月ごろにあたるため「五月雨」と書いて「さみだれ」と読むこと習った記憶がある。五月雨も梅雨も同じだが、梅雨は時候をさし、五月雨は雨そのものを言うらしい。本来「五月晴れ」は梅雨の晴れ間をいうもの。新暦の五月の晴天を「さつきばれ」と呼ぶはおかしいのでは。

時の記念日

6月10日は「時の記念日」である。小学生の頃、授業でポスターを作った記憶がある人も多いのでは。年配者だけかな。大正9年(1920)、生活改善同盟会が、時間の尊重、時間の厳守によって生活の改善、合理化を進めるために制定したといわている。

なぜ、6月10日を記念日にしたかといえば、『日本書記』の天智天皇十年(671)4月25日の項に、「漏剋(ろこく)を新しき台(うてな)に置く。始めて候時(とき)を打つ。鐘鼓(かねつつみ)を動(とどろか)す」とあり、漏剋とは漏刻のことで、水時計である。この4月25日が現行暦の6月10日にあたるため。  時を刻む、時計を眺めながら、”いま”という時間を大事にしたいと思う。過ぎた時間は戻らない。”とき”に感謝し、いくつになっても有意義に時間は使いたいものだ。