今様色(いまよういろ)/鶯色(うぐいすいろ)

日本の色を愉しむ寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

今様色(いまよういろ)

今様色とは「当世流行の色」という意味で、平安時代に流行した色のこと。当時の貴族にも愛好された元祖トレンドカラー。紅花染めによる紫みの強い赤色。『源氏物語』に光源氏が最愛の妻、紫の上に贈る衣装を選ぶ場面で「紅梅のいと紋浮きたる葡萄(えび)染の御小袿(こうちき)、今様色のいとすぐれたる」という描写があり、高貴な方しか着れない禁色に近いような色だったことがわかる。実際、一条兼良による源氏物語の注釈書『花鳥余情』にも「今様色とは紅梅の濃きを云なり。」との記述がある。

C0 M75 Y35 K20

鶯色(うぐいすいろ)

「ホーホケキョ」のさえずりで春の訪れを知らせてくれる鶯。別名「春告鳥(はるつげどり)」。その声を聴けば、寒い季節ながら身も心もあたたかくなってくる。梅に鶯の組み合わせは万葉の時代から。そんな鶯色とは、鶯の羽のような暗くくすんだ黄緑色。これは木々の間でも、体を上手に隠せるよう茶色と黄緑色を合わせたような色といわれる。鶯色を茶色がからせた「鶯茶」も粋な色として江戸時代に人気があったそうだ。

C23 M0 Y90 K50