山吹色(やまぶきいろ)/躑躅色(つつじいろ)

日本の色を愉しむ寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

山吹色(やまぶきいろ)

目にもまぶしい鮮やかな赤みを帯びた黄色。桜が終わる晩春に咲くバラ科の低木、山吹の花の色で、平安時代から明るい黄色に使われる伝統色名。その姿は、のどかな春から生命の躍動する夏へ、季節の移ろいを体現しているようだ。「春雨ににほへる色も飽かなくに 香さへなつかし山吹の花」(『古今和歌集』詠み人知らず) けぶる春雨に濡れそぼった黄色はうっとりと美しく、その上、香りまで懐かしいと山吹への愛着が語られている。

C0 M37 Y87 K0

躑躅色(つつじいろ)

躑躅は春から初夏にかけて、橙、紫、白、淡黄、赤と色とりどりの花を咲かせるが、躑躅色は鮮やかな紫がかった明るい赤色をいう。ツツジ科ツツジ属の常緑または落葉低木で、万葉の昔から和歌にも詠まれている躑躅。花言葉は「恋の歓び」、白は「初恋」。にぎやかに咲き誇るその姿は、恋の季節を待ち望み、楽しげにおしゃべりする乙女たちのようといわれる。

C0 M80 Y3 K0