空色(そらいろ)/瑠璃色(るりいろ)

日本の色を愉しむ寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

空色(そらいろ)

晴れた日の空のような明るい青色をさす。「空天色(くうてんしょく)」や「碧天(へきてん)」といった美しい別名をもつ。藍による下染の色のひとつとしてあげられ、中色(なかいろ)ともいって花色と浅葱の間の色調である。井原西鶴の『好色一代男』に「春めきて空色の御はだつき 中にはかば繻子(しゅす)にこぼれ梅ちらし」とみられるように、色名は江戸時代から使われている。日本の伝統色には、気象や天体に関連した色名は多くなく、珍しい色名といわれる。晴れ渡る夏空、清々しい空気の透明感が夏の色に近づいていく。

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瑠璃色(るりいろ)

濃い紫みを帯びた鮮やかな青色。瑠璃は青金石(せいきんせき)とも呼ばれる玉石で、仏教の七宝のひとつにあげられている。梵語の音訳「吠瑠璃(べいるり)」が色名の語源とされる。別名を「ラピス・ラズリ」といい、おもにペルシャで産出され、中国を経て日本に伝わった。その色にちなんだ瑠璃色も至上の色として神聖視され、透明感のあるその色合いは静かで幻想的な深海を思わせる。平安初期に書かれた『竹取物語』に「金、しろかね、るりのいろの水、山より流れ出たる」の記述があるように瑠璃は貴重な鉱物とされ、光沢のある鮮やかな濃青色であることから「碧瑠璃(へきるり)」とも呼ばれる。

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