支子・梔子(くちなし)/菖蒲色(あやめいろ)

日本の色を愉しむ寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

支子・梔子(くちなし)

「支子」は「梔子」とも書き、アカネ科の常緑低木。夏開く花は芳香があり、その実で染めた色。支子の単一染はあたたかみのあるやや赤みがかった黄色で「黄支子」といわれる。古くから黄色を染めるために用いられたが、皇太子の儀式用の服色、「黄丹(おうに)」に似た赤みの黄色のため一時禁制されたこともある。支子は「口無し」ということから、「いわぬ色」ともいわていれる。支子の色名が登場するのは平安時代の『延喜式』から。

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菖蒲色(あやめいろ)

鮮やかな赤みがかった明るい紫。菖蒲と書いて、「あやめ」とも「しょうぶ」とも読めるため間違われやすいが、それぞれ別の植物。「あやめ」はアヤメ科の多年草で、5月初旬から網目模様のある紫色の花をつける。美しい「文目(あやめ)」があることから「あやめ」。ちなみに端午の節句に軒に挿したり、菖蒲湯に用いられるのが「しょうぶ」で鮮やかな青みがかった紫。

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