寄稿者:橋本繁美
青丹(あおに)
青丹は岩緑青(いわろくしょう)の古名。青土のような暗く鈍い黄緑色をいう。青土は「あおに」と読まれ、「青丹」と書かれるようになる。「丹」は土の意味。ちなみに、もともとは青土とかいて「あおに」と読んでいた。『万葉集』に「青丹よし 寧楽(なら)の都は咲く花の 薫(にほ)ふがごとく 今盛りなり」と謳われ、「青丹よし」は奈良にかかる枕詞。歌の意味は「奈良(寧楽)の都は今は、咲く花の匂うように真っ盛りである」というもの。
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苔色(こけいろ)
苔のような深く渋い黄緑色。日本におよそ二千種あるといわれる苔は、古くから日本人に親しまれてきた植物。日本の詫び寂び(わびさび)の表現に欠かせない色。英語でモス(moss)といい、今では「モスグリーン」が一般的かもしれない。だが、「我がきみは千代に八千代に細石の巌と成りて苔の生すまで」(日本国家「君が代」の原型となった和歌)『古今和歌集』(913年頃成立)の巻七賀歌(がのうた)があるだけに、古くから日本人に愛でられた色であることがわかる。最近、日本人はもとより、外国の方にも苔が人気といわれる。
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