黄丹(おうに)/京紫(きようむらさき)

日本の色を愉しむ寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

黄丹(おうに)

昇る朝日の色を写したとされる鮮やかな黄赤。黄丹は顔料の名称で「おうたん」とも読まれ、赤色顔料である鉛丹(えんたん)の別名。染料では紅花(べにばな)と支子(くちなし)で染めた赤みを帯びた橙色をいう。かつて皇太子だけが着用を許された高貴な色。現在も立太子礼には黄丹袍(おうにのほう)が用いられる。顔料としての「丹」は古来より用いられ、社寺の丹塗りで知られる。

C0 M72 Y90 K0

京紫(きようむらさき)

赤みがかった、くすんだ紫色のこと。紫根と呼ばれる紫草の根で染める紫根染から生まれた色。江戸で染めた紫として流行った「江戸紫(えどむらさき)」は冴えた青みの紫色。これに対し、古代紫を継承したのが「京紫」渋めの紫色。すべての美の条件を兼ね備える紫色として、平安時代から高貴な色とされ、尊ばれた色だった。

C40 M80 Y0 K40