男の着物と私11 反物幅と買い物

​​​私が小売店で勤務した2001年頃、そのお店の取扱品目の関係もあって、幅の広い反物や角帯、男物の小​​物類などは周りであまり見かけなかった。勤務した店で稀にお客様から問い合わせがあると、注文品として店に取り寄せて対応した。

​私の周りの人たちがどのように着物を購入していたのかは定かではないが私の目的は「仕事着」だったので新調する一番の動機は必要性。そして自分の仕事着に対してそこまでの購買欲もなかった。帯や小物はほとんど買わずに手持ちの三種類ぐらいを使い回していた。

私の場合、一般的な幅(幅1尺ぐらい)の反物でギリギリ仕立てられたので生地の選択肢は多かったが、それでも「もう少し欲しいものがあるといいなぁ」なんて思っていたので、広い幅の反物でなければ仕立てられない人は大変だったと思う。

当時私が働いた小売店で男性のお客様はたいへん珍しかったし、街で着物姿を見ることも少なかった。自分のものは普通の反物から探せるから広めの幅に必要性も感じないし、そもそも購買欲はあまり無い。そんな近頃のカジュアル着物シーン需要とはかけ離れた感覚だった。

ちなみに最近のお誂えで裄を長めに仕立てる傾向とは反対に、私自身が着る上では裄が多少短いことに抵抗がない。一度裄を長めに仕立ててみた事があるが、結局違和感で元の寸法に戻した。おそらく私の中で仕事着ならではの「袖が邪魔」という感覚がどうしても残っているだろう。自分の着物の寸法に対して細かい拘りがなかったわけではないが、必要性や価格を重視していたので購入する反物によってある程度寸法を妥協していた。

ともかく、着物のお誂えにおいては裄と反物の幅の関係は買い物の選択肢を大きく左右する。私にはその心配が少なかったにもかかわらず、購買意欲もあまりないし、選ぶのは無地と縞ばかり。そういう好みも結果的には選びやすいという利点だったのだけれど、当時の私はそれすらも感じずに何となく着物を着ていたように思う。

参考:下が鯨尺、上がcm(メジャー)

着物仕立ての最大裄について(当社の場合)
(反物幅-6分)×2=最大裄。(反物-6分=袖幅、肩幅の最大)
※耳が3分以上の場合は耳が縫い代から出てしまうので耳内×2が最大裄となる

私の裄は1尺9寸。
反物の幅が1尺(一般的)あれば
(1尺-6分)×2=1尺8寸8分まで出る。(ただし肩、袖ともに9寸4分)

肩、袖の寸法を無視するなら、少しぐらい短くてもいいか、という感覚だ。
※すべて鯨尺。100分=10寸=1尺=0.1丈=37.88cm

2021年02月22日 | Posted in 男の着物と私 - 回想録 - | | Comments Closed 

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