男と着物18 着物の下1 小売店での仕事着

私が着物の世界に足を踏み入れたのが2001年。当時5年ほど小売店で勤務させていただいた間、着物の下には何を着ていたのか、というお話。

今の様にハイネックセーターやシャツなどをインナーに着るような着方は周りでも見なかったしそれ用のTシャツなどもなかった。私にも特に発想はなかった。手持ちの長襦袢は大島紬を仕立ててもらった時に合わせて作ってもらったシケ引き。持っているのはそれ一枚だった。けれどほとんどそれは着ずに勤務先で支給された半襦袢風な肌着を着ていた。

そもそも着物は肌着の上に長襦袢を着て着物を着るというのがよくあるパターンだが、それを簡単にしたものが半襦袢だ。身頃に綿を使い、衿と袖は長襦袢風のポリエステル。腰下ぐらいの丈というのがよく見かけるものに思う。肌着と兼用できたり、洗濯しやすいのが特徴で、ステテコなどと併用して使う。

一方で支給されて着ていたものは、肌着に衿だけが付いていた。袖はただの半袖だった。当時は節電よりも過剰気味の空調。長襦袢との二択だったけれど、仕事中は「着物の中が洗濯できて簡単に着られる方がいい」という観点で『半襦袢風』に軍配が上がり、日常はそれしか着ていなかった。一般販売していなかったのは何かしら事情があったのだろう。室内用の簡易なものだったので一般販売用で作られたものではなかったのかもしれない。ちなみに下は支給されていなかったのでステテコだった。「ステテコと『半襦袢風』を着てその上から着物」である。

一つ難点は何をどうやってもしばらくすると衿がはだけることだった。衿止めが付けられるような仕様でもなかったが、そもそも 衿止めの存在も知らなかった。結局はいろいろ工夫しながら紐やベルトなどで衿合わせを止めていたが全く解決せず、紐やベルトがとても嫌いだった記憶がある。それでも自分で縫って紐をつけたり工夫するという発想は全くなかった。何故かはわからないけれど、自分の着るものに創造性を欠如した発想しか持っていなかった。

衿止め。襦袢の衿をこれで留めると、はだけない。
2021年04月12日 | Posted in 男と着物 - 回想録 - | | Comments Closed 

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