49 着物で海外旅行2 空港と道行く人の反応

投稿者:ウエダテツヤ

​洋服は寝間着以外一切持参しなかったので飛行機も当然着物だった(膝丈ぐらいの袴下と袴。どちらも綿)。出発前の国際線ターミナルですれ違った人(おそらく日本人だと思われる)が「着物みたいなものを着て帰る人がいるね」とゴニョゴニョ話していたのが聞こえたのを覚えている。みたいなもの、というか着物だったし、帰るのではなくこれから行くのだよ、そして私は日本人だよ、と思っていたけれど、聞こえないフリをしておいた。

「あれはとても着物に似ている」というニュアンスで英語で説明している人もいた。みんな袴で飛行機に乗るとは思っていなかったのかもしれない。確かに当時国際線で私がうろうろしていた間、他に着物姿は見なかった。

こちらはこちらで慣れない海外旅行。国際線にソワソワしていて、いつもよりも周りの視線が何となく気になったのは、アウェー感が私に充満していたからだと思う。そんな搭乗エリアを通過し出発した。

先に申し上げると長時間の飛行機を着物で過ごすというそれ自体のメリットは私にはなかった。家着はずっと洋服なので、あのエコノミーの過ごしにくさだけ考えれば着物でなくて良かった。国内線に乗ったことはあったので、窮屈さの予測はついていたけれどそれを覆すようなことは何もなかったし、飛行機内の狭いトイレは不便だった。正直なところ次があれば少なくとも行き帰りの着物はやめる。ただ、空港(ナポリだったと思う)に着くと(一般人の私には)着物でしか経験できない体験ができた。

袴だったからか、道行く人の反応が凄かった。数々の人から「サムラーイ」と声を掛けられどうすべきか分からない私はニヤニヤする。他にも色々言われたり視線を感じたけれど私の想像以上に着物が好きそうな、そんな反応だった。空港で既に旅の期待感が満たされそうな中で、異国での袴のイメージを知ることが出来たこともあって窮屈だった飛行機にも意味を与えることができた気がしていた。

​その後も素敵だとかクールだとか、道行く人々やお店のスタッフなどから声を掛けられることが度々あった。思い返してみると声を掛けられるのはフランスよりもイタリアの方が圧倒的に多かった気がするけれどそれが国民性なのか、たまたまなのか私にはわからない。

少なくとも​私は侍ではなかった​し、​けれど​いちいち否定しなかった。​声をかけてくる人は皆楽しそうだったし、私も楽しかった。​良い思い出ができた。

出発時の写真。関空。
2021年12月07日 | Posted in 男と着物 - 回想録 - | | Comments Closed 

関連記事