65 会社で週一「着物の日」のその後

男と着物 - 回想録 -

投稿者:ウエダテツヤ

人数が多い企業だと意思決定のプロセスも違うだろうし新しいことになると就業規則や雇用形態などの関係もあると思うけれど、幸い当社は社員同士の話し合いで週一の着物の日が決まった。

やってみてしばらくすると無論(?)不満も出てくる。根本的に嫌だという意見は耳にしなかったけれど、「作業がしにくい(動きにくい)」という業務上の理由が多かった。毎日着物を着ていた私にとっては既に通った道だったので「まあ、そうですけどね」と思っていたし、たまに抑えきれず反論したりした。とはいえ当の彼らも自分たちで決めたことと理解もしていたので、着物の日をやめたいといった話に発展することはなかった。

着ない理由を挙げていては元も子もないことは皆がわかっていたのだろう。新しい環境と今までの違いが気になるだけで、週一着ることが習慣的になってくると不満を聞くことは少なくなった。「明日は着物だからこの作業は明後日にしよう」などの発想も聞かれるようになったし、不満を諫めるような声まで聞こえてきたのは、方々でお取引先の方から着物を着ていることや着姿を褒めて頂いたことが大きかったのかもしれない。着物を着ていて不快だと言われることはないし、むしろ喜んで興味をもっていただけることが多かったので嬉しくなったようだ。

感じていた不満から新しい商品などにも繋がっていった。

会社としては「着ましょうね」とはしているものの長年やっていると曜日を勘違いして忘れる社員もいれば、大きな入出荷などで違う日にするなどもある。私も着ないことを一つ一つ事細かに注意はしない。けれど最近はお客様でも当社に着物の日があることを知っておられるので着ていないとちょっと恥ずかしくなるとも聞く。

社員の中には会社で着替えるものもいるし、自宅から着てくるものもいる。自宅と着物で行き来することも結構大事な意味があると思うけれど、そこもそれぞれに任せている。

こうして始めてかれこれ10年近く。社内で楽しそうに買い物する姿を頻繁に見るようになったことも大きな変化の一つ。仕事をどう捉えるかで様々だとは思うけれど当社ではまだ続いていくのだろうなと思っている。  

2013年。お昼ご飯を買いに行くおじさん3名