66 毎日着るようになって感じた変化

男と着物 - 回想録 -

投稿者:ウエダテツヤ

55で着物をファッションとして考えられるようになったと投稿したけれど、毎日着物を着るようになると、当然ながら自社商品についても色々考えるようになる。例えばシンプルに大島紬は凄いなと思っていたのが、購入対象になった途端に値段について主観で考えすぎたり、毎日着るのはちょっと夢みたいやなと感じたりした。私の中で一張羅であり続けたけれど、それ一筋ではなくなり、時には否定してみたり一方で見直してみたりと、ただ賛称していた頃とは違い、輪を掛けて大島紬の持つものに囚われドロドロした感情にどっぷり浸かっていた。ファッション、伝統、職人、価値、価格、メンテナンス。大した一張羅、さすが当社の主力商品だと思う(笑)。そして一周して今でも一番好きな着物である。

そのドロドロの感情の中で大島紬とは異なるもっと違う素材や規格のものが欲しいという欲求も生まれてきたし、大島紬について思いは巡らせていたものの、そこには私の父や社員など皆が尽力していたこともあって私の役割は新しいことへと変わっていった。
私自身にとっての着物も確実に変化していた。より気軽に着物を着たいと感じていたし、いわゆる着物を着る人、買う人からもそんな感情はヒシヒシと伝わってきて、それを勝手なまでに心強く感じていた。そして何より私自身がやりたいようにさせてもらえる環境にあった。

人との関係性も大きく変わった。毎日着ていることを知った人からお声がけいただいたり、意気投合したりして、その人たちにとっては普通の事なのだろうけれど、私にとっては新しい世界で希望の溢れる場所だった。

ただ毎日着るようにしただけで、こんなにも何もかもが変わるのかと感じたほどだった。そしてその渦中に始まり今尚私と共にあるのがKimono Factory nonoという自社ブランド。2012年の発表は私が毎日着物を着るようになって1年半ほど経った頃であった。