投稿者:ウエダテツヤ
イベント、催事、展示会などというと基本的には一つの小売店主催で、販売員さんが付いてしっかり接客する販売会が多かった。そんな業界手法の一方で、着物を気軽に楽みたいという着物ファンの声を形にしようという動きも現れ始めていた。それらは時に小売店の垣根を超えて様々なイベントとなり、各地で開催されていった。当社も2012年Kimono Factory nonoを発表後、いくつかのイベントに出店させていただいた。
(76 着物を着て業界の知り合いも増えた)でも記載した通り、それらを通して様々な人に出会うことができた。みんなとても魅力的で感心することが沢山あり楽しかったのだけれど、会を重ねるごとに集まる人達の素晴らしさに自分が酔いしれ、その素晴らしさを同じように自分が持っていると勘違いしてしまいそうになってきた。優勝チームの中で役立てなかったのに雰囲気に飲まれて凄く貢献した気になっている、そんな気持ちだった。
それは恐らく私の着物ライフを確立しつつあったということと、だからこその新たな難関がやって来つつあったからだと今では思うのだけれど、当時は知る由もなかった。ただ、みんなといることが私の役目ではないことをぼんやりと感じ、周りの素晴らしさに「やるべきことがもっとある、これではいけないぞ」と感じていた。
やはりまだ着物の楽しさは純粋ではなく、着られる、着ている自分を振りかざしているだけで、それはみんなに与えてもらっている楽しさだった。とても楽しかった。けれど私はその先に進まなければならないと漠然と思っていた。