男と着物8 初めての絹と大島

小売にいると様々な着物に触れる機会がある。その中でも比較的高い知名度、小売店なら知らない人はいないであろう紬が大島紬である。事実、私が勤めた小売店でも大島紬の売り出しを毎年行っていた。

私にとって初めての絹の着物が大島だった。 ただし「初めての着物が大島だった」と言いたいところであるが、 残念ながらそうではないのは以前に(男の着物と私 6)で申し上げた通りだ。

さて、私の初正絹、初大島の話である。

正しくは本場縞大島の着物と羽織である。本場大島紬のような伝統的工芸品ではないが、近しい着心地とシンプルな見た目にとても気に入っていた。(参考:枡屋儀兵衛と本場縞大島)着物は細い縞、羽織は無地調の黒。いずれも袷の仕立てだ。気に入っていたと申し上げたのは今は着物が羽織になり、羽織は生地になったからだ。どちらも結構な頻度で着ていた。着物は仕立ててからコンスタントに着たし、羽織は小売店を辞めてからの方が集中的に着た。仕立て替えたりもしたがボロボロになりお役御免となったが、着物はなんとか羽織に仕立てかえられた。

当初は着物だったが今は羽織
細かい縞になっている

その後結城も、よくわからない紬も、真綿風の着物も着てみたが、純粋に大島が好きだった。特に、その着物が好きだった。自分で買ったのではなく、父に誂えてもらった、家業の関わる着物。何一つ知らなかったけれどそれが好きだった。

「自分で買ったほうが大事にする」と思っていたこともあるが、今思えば誰が買ったかではなくその着物への思い入れだと思うし、そういう着物に出会えたのはとても有り難いことだと感じる。とは言え、着ているときにはそこまで考えていなかったのだけれど。

ちなみにその時着物には金巾(当社ではカネキンと呼ぶ。一般的には正花、ショウハナとも)と呼ばれるいわゆる綿通し裏が付いていた。最近は正絹の裏地を付けることも多いと思うが、私はその初めの習慣でカネキンを付ける事も多い。どちらが良いですかと聞かれると、私としてはどちらも善し悪しがあって迷う。実際私の着物でも毎回迷うので、思う事を全て伝えて迷って頂くことにしている。

2021年02月01日 | Posted in 男と着物 - 回想録 - | | Comments Closed 

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