寄稿143 十条東寺でとどめさす/ 京を歩く

京を歩く寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美 編集:枡儀

京の東西の通り名を歌った『丸竹夷』。実際、東寺は平安京の九条大路にあたる九条通大宮にある。かつては都の正門であった羅城門がもう少し西に行ったところに建っていた。いまは公園のなかにその跡をとどめている。北の大極殿の朱雀門と相対した羅城門は、間口七間、奥行き二間で二重の楼閣があり、屋根の両端に金色の鴟尾(しび)をあげた堂々たる姿で、平安京の南正門の威厳をあらわしていたといわれる。その荒廃ぶりは『今昔物語集』巻29第18に記述されており、芥川龍之介の『羅生門』はこの『今昔物語集』の羅城門にモチーフを得た短編小説である。

現在、九条通のシンボルとなっているのが東寺の五重塔。その高さは55メートルもある。東寺の正式名称は東寺真言宗総本山教王護国寺といい、弘仁14年(823)に弘法大師空海に下賜されて以来、真言宗密教の寺として一般の信仰を集めている。

毎月21日は、「弘法さん」で親しまれ、弘法大師の供養法会が営まれる。広い境内には植木や古物の露天商による店がずらり。朝はやくから多くの参拝者で賑わう。特に、師走の「終い弘法」、1月の「初弘法」がもっとも賑わう。東寺を西へ行けば京都府立鳥羽高等学校がる。九条通は東大路通から西は葛野大路へと至る。