二十四節気 処暑(しょしょ) 新暦8月23日頃

旧暦のある暮らし寄稿記事-ことばの遊園地-

 寄稿者:橋本繁美

処暑とは、暑さが少しやわらぐ頃のこと。「処」には落ち着くという意味があるところから、暑さがおさまる時期ということらしい。とはいえ、まだまだ残暑は厳しいが、朝の風や夜の虫の声に秋の気配が漂いだす。

蝉の羽衣(せみのはごろも)

暑い盛りの時期に着るきものを「蝉の羽衣」、略して「蝉の羽」、「蝉衣」などという。紗(しゃ)や絽(ろ)などの薄く透けて見えるきものを、先人たちは蝉の羽に見立てたというわけ。きれいに透きとおった蝉の羽。後拾遺(1086)夏・二一八「一重なる蝉の羽衣 夏はなほ薄しといへど あつくぞありける〈能因〉」。また、中国の故事に「蝉は美人の生まれ変わり」ともいわれ、「蛍二十日に蝉三日」というように、はかなさの象徴でもあった蝉。夏の終わりころから秋を告げるように鳴くのが「つくつく法師」。蝉とは思えないほどの高く澄んだ声で「かなかな」と鳴くのが蜩(ひぐらし)、寒蝉(ひぐらし)。その声は涼やかで、どこか寂しげ。