寄稿者:橋本繁美
熨斗目色(のしめいろ)
灰みの強い鈍い濃い青色。熨斗目とは、経に生糸、緯に半練糸を用いた平織りの絹織物のことで、無地のほかに縞や格子を織り出したもの。後に、これで仕立てられた小袖を熨斗目というようになり、江戸時代では士分(武士)以上の礼服のことをいい、織物の小袖にも使われた。他に熨斗目に用いた地色に「熨斗目花色」「熨斗目浅葱」「熨斗目空色」「熨斗目紺青」などがある。
C30 M0 Y0 K65
勿忘草色(わすれなぐさいろ)
初夏に青色の小花をつける勿忘草。その花の薄い青色をいう。ヨーロッパ原産のムラサキ科の多年草で、姫ムラサキ、瑠璃草とも呼ばれる。詩人の上田敏は、英語の「Forget-me-not」を物勿忘草と訳し、『海潮音』(明治38年)に「ながれの岸のひともとはみ空の色の水浅葱」と詩い、この「み空の色」とは聖母の衣の色を意味する。
C52 M10 Y0 K0