寄稿者:橋本繁美 編集:枡儀
烏丸六角の東に、聖徳太子が創建したといわれる「六角堂(紫雲山頂法寺)」がある。本堂の形が六角形であることから、古くより「六角堂」「六角さん」と呼ばれ、親しまれている。西国三十三所の御詠歌にも「わが思う 心のうちは六つの角(かど) ただ円(まろ)かれと祈るなりけり」と詠まれ、一年を通して訪れる人が多い観光スポット。その前の通りが「六角通」で。東は西木屋町から西は佐井西道まで。途中、JR山陰本線などで中断するが約3.3kmと続く。
個人的には道順の目印「花は花市」でおなじみの花市商店。六角堂といえば華道家元池坊、そのご用達の花屋さんが門前にあり、そこから東に向かえば六角堂。かつて東洞院通六角を下がったところにあった呉服商T商事に行っていた関係でよく覚えている。いずれも広告代理店を通して仕事をした得意先。通るたびに昔がよみがえる通りだ。
六角堂に話を戻そう。「六角堂の柳に願をかけると良縁に恵まれる」という「縁結びの柳」があり、山門をくぐると中央にまるい穴があいた六角形の石があり、体の中心であるへそになぞらえて「へそ石」(京のまん中に位置することからも)と呼ばれている。さらに、なんと祇園祭の山鉾巡行の順番を決める「くじ取り式」が、江戸時代末まで六角堂でおこなわれていたそうだ。知らなかった。現在は毎年7月2日に京都市役所でおこなわれているが、さらに身近に感じるお寺だ。