寄稿103 四条通をゆっくり西へ / 京を歩く

京を歩く寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

四条河原町といえば、京の繁華街のど真ん中。昔から老若男女関係なく、ショッピングや食事などによく利用するところだ。かつての待合場所だったお洒落な阪急百貨店のあとは丸井百貨店、そして今はエディオンと形態を変えているが、7階と8階の食事処セブンエイトは健在だ。入っているお店はずいぶん変わってしまったが、個人的には何かと重宝する。

向かいの高島屋は説明不要なくらい賑わっている。百貨店といえば、いつ来てもワクワクする何かがある。時代とともに、随分、減った気がするが。高島屋といえば、私の出身地、八木町の同級生の顔が浮かぶ。彼の家から高島屋の偉い方が出ているからだ。高島屋の業績はいうまでもなく、河井寛次郎の陶芸品収集家としても有名な川勝コレクションの川勝堅一さんだ。数年前だったか、京都国立近代美術館で展覧会が開かれていた。観に行ったが展示内容がすごかった。その作品図録を先輩の知り合いが作っていて、カメラマンも昔からの友人だった。ここにもご縁をつくづく感じた次第。この図録は本屋さんでも書籍として見ることができる。

この交差点は、毎年、祇園祭の辻まわしでスポットを浴びるところ。わが綾傘鉾も八坂さんに向かって、棒振り囃子を奉納する場所でもある。祇園祭関係者にとっては、四条通は八坂神社へと続く参道でもある。だから、ここを起点に河原町町を上るため、八坂さんに感謝と御礼をこめて巡行を祈る重要な場所である。

古い話だが、平安建都1200年祭があった1994年、祇園祭巡行の一週間後、福岡をはじめ、全国から祇園祭に繋がる祭りが京都に集合。四条大橋から河原町を上がり、御池まで巡行した。なかでも勇壮な博多祇園山笠が勢いよく駆け巡った光景は今も記憶に残る。鉾の連中に水をかけるため、河原町の商店街に水を用意してもらったが、それでも本番は全然たりなかった。私は阪急百貨店の前の四条通で、それらの出発を祭扇子で合図するという大役をさせてもらった。平安建都1200年祭にむけて結集された若衆会のトップのおかげだ。ありがたい貴重な体験だった。四条通に戻ろう。