寄稿110 西大路七条から西院 / 京を歩く

京を歩く寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

若いときに勤めていたデザイン会社が、西大路七条通と花屋町通のまんなかにあった。百貨店や大手スーパーチェーンの販促企画、広告印刷物を一手に引き受ける企業で、いまではそれらの業界は大手イオン一色となってしまったが、当時は、ニチイ、ジャスコをはじめ、さとう、イカリなど得意先は多く、流通業界以外にも食品関係、繊維など多業種にわたっていた。コピーライターやデザイナー、カメラマンなど、多くのクリエイターを抱えていてその数は各支店をあわすと全国一位に匹敵するといわれていた。ま、とにかく不夜城といわれるくらい残業、残業の多い日々だった。

そんな環境だけに、近くにあった飲食店には特にお世話になった。従業員食堂はあったが、それは昼食のみ、若いときは何かとお腹が減るもので、夕食をはじめ、深夜には西大路駅近くにあった店までクルマを走らせ、よく食べに行ったものだ。若きプレゼンテーターとして全国あちこち飛び回っていた。この会社の出身者で大活躍している人も多い。あの時に出会った仲間たちとの親交は、いまも続いている。

花屋町のバス停を北にいったところに太平印刷があった。宝酒造の関連会社で、クリエイティブ室ではいろいろとお世話になった。現在はなく、伏見に行かれたと聞く。さらに歩けば五条通、王将のあるところ。その前でいつまで続くのかと思う地下の工事。決して地下道を作っているわけではない。わからん。信号を渡れば、京都朝鮮会館があったがいま空き地。東には京都市立病院がある。西大路五条をさらに北へ歩き、松原通を西に行くと「菓子職人」がある。その名のとおり、最高にケーキが旨い。阪急西院駅に近づくと、東にはむかしからお世話になっている富井眼科、三菱UFJ銀行、西には居酒屋や飲食店。むかし仲間たちとよく行った店はもうない。新しくなった阪急西院駅ビルがある。