寄稿111 「さいいん」か「さい」か / 京を歩く

京を歩く寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

西院の駅といえば、阪急京都本線と京福電気鉄道嵐山本線の2路線が乗り入れている関係でふたつある。ただ、その呼び名が阪急は西院(さいいん)と、京福は西院(さい)となっており、実に紛らわしい。

ここは平安時代、淳和天皇の離宮である南池院、のちの淳和院があった場所で、御所の西ということで「西院」と呼ばれるようになったそうだ。西大路通と四条通が交差する北東角に高山寺がある。その石標には「西院(さい)の河原 旧跡 高山寺」と書かれている。この「西院(さい)之河原」と書かれており、通称「賽(さい)の河原」。つまり、あの世とこの世を隔てる三途の川という意味で、かつて佐井川は京都の葬送地の一つだったそうだ。なんだか、こわい。

高台寺をお参りしてから、西側にできた新しいビルを眺めながらさらに北へ。蛸薬師、六角も過ぎると京福嵐山本線の西大路三条駅が東にある。路面電車が走る姿はのどかでいい感じだ。そこから西の方へ向かえば、ノーベル化学賞受賞の田中耕一さんで、さらに有名になった島津製作所がある。凄い敷地に広がる企業だ。仕事でも随分お世話になったところ。御池通までくると西京高校があり、地下鉄東西線の西大路御池駅がある。この地下鉄ができてから西への移動が便利になった。終点の太秦天神川駅周辺も大学などができ、街としての活性化が感じられる。

西大路太子道まで来ると、東に行けば京都気象庁の近くにある、知り合いの医院。さら東へ足を伸ばせば、JAGDAの先輩、渡辺さんが勤めていた大光印刷さん。西大路に戻って、JR山陰本線の高架をくぐれば円町に到着。すこし東にJRの円町駅がある。この駅もできてアクセスが便利になったと思う。以前は二条駅を過ぎれば花園駅までなかった。しかも、今じゃ高架、電車だしね。目の前は多くの車が行き交う丸太町通、今回はここまで。