寄稿14_2 愛のバレンタインデー

寄稿記事-ことばの遊園地-

 寄稿者:橋本繁美

2月14日は、バレンタインデー。チョコレートの日である。いつの間にか、チョコレートに縁のない年齢になってしまったが、いつの時代もチョコレートやお菓子を贈ってイベントを楽しめばいいのではと思う。
バレンタインデーは、聖ヴァレンティヌスが処刑された西暦270年2月14日に由来する。当時、ローマではキリスト教は公認されていなかったし、またローマの兵士には結婚が禁止されていた。なぜかといえば、結婚した兵士は軟弱になるからである。それを、キリスト教の司祭の聖ヴァレンティヌスは、キリストの愛を説いて、兵士とその恋人たちをひそかにかくまって結婚させていた。それが発覚して、彼は処刑になったといわれる。
ところで、聖ヴァレンティヌス教会のあるテル二には、次のような伝説がある。相思相愛の男女がいたが、宗教のちがいから結婚できなかった。ところが、カトリック信者の娘のほうが重い病気になって、2月14日に死んでしまった。男の方は聖ヴァレンティヌス教会を訪れて、同じく2月14日に祈りつづけながら天に召された。そして、天国において、聖ヴァレンティヌスはこの二人の男女を結婚させてやった。それで、聖ヴァレンティヌスは愛の守護神になったのである。天国で結ばれる恋。ほかにも、この季節には木々が芽吹き、小鳥が発情するところから、2月14日が愛の日と呼ばれるようになったとか。なんか、むなしいな。

日本で初めてバレンタインデーが紹介されたのは、1936年2月12日に神戸で発行された外国人向け英字新聞に掲載された広告。神戸のチョコレート会社が「バレンタインデーには愛する人にチョコレートを贈って愛を伝えましょう」とアピールしたのだ。2月14日は愛の告白の日というキャンペーン。ロマンチックなマーケティング戦略でチョコレート業界を活気づけ、現在にいたるのである。
ちなみに、アメリカでは男性が女性に気持ちを伝える絶好のチャンスの日とされ、バラの花束と一緒にチョコレートやジュエリーなどをプレゼント。フランスでは「恋人たちのお祭りの日」とされ、男性から女性にチョコレートやカード、花束などを贈るとか。男性が好きな女性に「あなたを愛します」と真っ赤なバラの花を贈るのが定番になっているみたい。