寄稿35 疫病退散を祈る「拝礼行列」

京の旬感寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

7月17日午前9時、山鉾巡行に代わり、各山鉾町の代表者が榊を持って徒歩で巡行する「拝礼行列」がおこなわれた。綾傘鉾からは寺田理事長と梶居副理事長が務めた。2年連続の拝礼行列となったが、前祭(さきまつり)の23ある山鉾保存会代表ら約60人が「祇園會」と書かれた幟とチリン棒を先頭に四条烏丸交差点を出発し、東へゆっくりと進んだ。長刀鉾の前を一行が通ると、鉦や笛、太鼓の祇園囃子が鳴り響いた。ことしは2年ぶりにおこなわれた「くじ取り式」の順に並び、梅雨明けの夏空の下、裃姿の代表者たちの列がまぶしかった。四条通堺町では「くじ改め」を簡略化した「くじ渡し」がおこなわれ、寺町の御旅所に着くと八坂神社に向かって遥拝した。あっという間の厳かな神事だったが、神霊が巡行する前の京の町を清め、疫病退散を祈る前祭の徒歩巡行だった。コロナ禍で変わるカタチ、変わらぬ祈り。18日からは後祭(あとまつり)が始まり、11基の山鉾のうちお隣の大船鉾など6基の鉾建てがおこなわれている。