寄稿44_s 秋の雨・彼岸花

寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

秋の雨

♪September rain rain 九月の雨は冷たくて…(9月の雨・太田裕美)。♪バスが止まって外は雨が降っている…(雨の日の情景・吉田拓郎)。今月に入って雨が続いている。日本列島に接近する台風の影響もあるが、傘の出番が多い。一雨ごとに季節は秋へ。ま、日本は雨の多い国だから仕方がないか。秋の雨は〝秋雨(あきさめ)〟とも呼ばれ、また〝秋霖(しゅうりん)〟ともいう。辞書によると、霖という字は三日以上降り続く長雨をさすらしい。

彼岸花

秋のお彼岸の頃に、燃えるような赤い花を咲かせる彼岸花。または曼珠沙華(まんじゅしゃげ)とも呼ばれ、その意味は天に向かうように咲く赤い花。かつては田んぼの畦道に咲き誇っていたが、農地整理のため、ずいぶん多くの曼珠沙華が姿を消したように思うのは私だけなのか。畦道以外にも、お墓に咲く赤い花だけに、縁起がわるいとか、家に持って帰ると火事になるとかいわれたのは、この花には毒があるから手にしないようにとの教訓だったのか。街で珍しい白い彼岸花を見かけたことがあるが、曼珠沙華は赤がよく似合う、情熱的だ。