寄稿47 奄美の島唄・元ちとせ

奄美探訪記と大島紬寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

「その声は、百年にひとり。」というキャッチフレーズとともに鳴り物入りで登場した元(はじめ)ちとせさん。彼女が『ワダツミの木』でメジャーデビューして間もない頃。奄美大島瀬戸内町出身の彼女は、島唄で育ったといわれるだけに、地元で数々の民謡大会で賞を総なめにしていたと教えてもらった。それだけ名の知れた存在で、その才能が開花することになったのは、地元民からすれば何ら不思議ではなく、むしろ当たり前の出来事に過ぎないのかもしれない。資料によると、メジャーデビューの前に、すでに島唄『故郷(シマ)・清(キヨ)ら・思(ウム)い』、『Hajime Chitose』、『コトノハ』の3枚のCDを出している。中学3年生の時に「奄美民謡大賞少年の部」で優秀賞、高校1年生の時に「奄美民謡大賞青年の部」で新人賞を受賞とある。歌が上手いのは、幼少時代からの積み重ねと、数々の実績を経てきたからだろう。

デビュー曲「ワダツミの木」は、作詞を手掛けた上田現(うえだげん)氏によると、「ある女性が、人を好きになるあまり花になってしまった物語」であると解説されている。「ここにいるよ あなたが迷わぬように」という歌詞から、男性の帰りを待っている女性が木となり花を咲かす物語と解釈できるとか。「ワダツミ」とは日本神話に登場する海の神であると書かれている。そんな彼女が通っていた小学校(廃校)を上田真三さんと見に行ったこともあった。別に逢えるわけでもないのに。そのあと、私たちは古仁屋に向かい、加計呂麻島に渡った。

ある日、名瀬市にあるライブハウス『アシビ』でおこなわれた島唄ライブにも連れて行ってもらった。ライブハウスの入口を通れば、会場は京都にあるライブハウスとほぼ同じ。島唄だから年配者と思いきや、なんと若い客層で活気満ちていた。ここで知ったのが中村瑞希さんだ。彼女のプロフィールをみると、奄美市笠利町の出身。小学生の頃から島唄を歌い始め、地元のコンテストで数多くの優秀賞を獲得している才色兼備娘。第19回「奄美民謡大賞」(平成10年)で新人賞。2003年5月に開催された第24回「奄美民謡大賞」大会では「嘉徳なべ加那節」を歌い大賞を受賞。同年10月、東京国技館で開催された平成15年度「民謡民舞全国大会・浦本杯争奪戦」(日本民謡協会主催)で準優勝。全国でトップクラスの実力と評価され、そしてついに平成17年度「民謡民舞全国大会」において見事、日本一の栄冠に輝いた実力の持ち主。歌声を聴いて一気にファンになったミーハーなのだ。
そして何年かが過ぎ、京都が生んだ日本のフォークシンガー、茶木みやこ(元ピンク・ピクルス)さんが奄美に来てコンサートを開くことになる。さらに、中村瑞希さんと一緒にライブを開くことに繋がっていく。この話は次回に。

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