寄稿76 今年も葵祭が見られない・石楠花

京の旬感寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

今年も葵祭が見られない

京都三大祭りのひとつ「葵祭」は、残念ながら行列、舞楽、神馬の引き回しは中止、社頭の儀のみ執り行われる。葵祭は、賀茂御祖神社(下鴨神社)と賀茂別雷神社(上賀茂神社)の例祭。五月晴れのなか、あざやかな平安貴族の衣装を纏った行列が、京都のまちを巡行するのが恒例なのだが、コロナ禍で中止。  本来なら、華やかな王朝行列は総勢500余人、馬36頭、牛4頭、牛車2台、輿1台からなり全長およそ700m、京都御所を出発し、下鴨神社を経て上賀茂神社へ向かう。来年こそ、4月からの斎王代(さいおうだい)の発表からの日程を期待したい。

牛車や冠に葵を飾ったことから葵祭といわれる。ちなみに葵祭の葵は双葉葵のこと。徳川の紋所としてもおなじみのハート形の葉が二枚向かい合ってつく。

石楠花(シャクナゲ)

空が晴れ、和やかなことを「清和」という。そんな日が多い月だから「清和月」という異称をもつ。風薫る季節、新緑の香りをいっぱい深呼吸しながら、ゆっくり歩いてみたい気分だ。この時期になると躑躅(ツツジ)も鮮やかだ。

小鳥のさえずりを聞きながら訪れた寺には、石楠花がみごとに咲いていた。大きく豪華な花びらをつけることから「花木の女王」と呼ばれている。石楠花は元々ヒマラヤの高山地帯にしか自生していなかったことから「危険」「警戒」という花言葉をもち、ミステリアスな印象もあり、その美しい花から、手の届かない存在を表わす「高嶺の花」といえば石楠花をさすともいわれている。

石楠花

躑躅