寄稿78 美人たちとの再会・麦色

寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

美人たちとの再会

先週末、福井県立美術館に行ってきた。現在、開かれている日本画の美人画展を観るために、久しぶりにサンダーバードに乗って出かけてみた。その日の目的は、美人画にちなんだ題目で、なんと落語三席が聴けるというのが、もうひとつの楽しみもあった。県美の展覧会会場は、落ち着いた雰囲気のなか、今回はおよそ60点の美人画か出迎えてくれた。図録解説では幾度もポジや写真データで原稿を書かせてもらったものばかりだが、やはり現物に出会えるとなんとも言えない幸福感が込み上げてくるものだ。美人画に見惚れていると、コレクターの培広庵さんが学芸員の方と共に現れた。

2時から始まる落語の会場に向かった。会場には事前予約の落語ファンが席を埋めていた。マクラで今回の美人画展にふれ、美しい女性が出てくる噺で笑いを誘った。演じられた三席をたっぷり楽しんだ後、会場をあとにした。その日は金沢に泊まり、翌日、金沢県立美術館、21世紀美術館、そして東京から引っ越ししてきた国立工芸館を見学して帰路についた。晴天に恵まれ、新緑のなかを歩いてみると、心身とも洗われたような気がした。

麦色(むぎいろ)

麦といえば、大麦と小麦。大麦の方は、芒(のぎ)と呼ばれる長い髭のような部分が特徴で、ビールや麦茶の原料になる。小麦の方は、文字どおり小麦粉になる。麺類やパンの原料ともなるらしい。麦が熟すと穂の色は「小麦色」。健康的なイメージの色としておなじみ。これから迎える夏にはぴったりの色だ。