日本の七十二候 楓蔦黄(もみじつたきばむ)

旧暦のある暮らし寄稿記事-ことばの遊園地-

 寄稿者:橋本繁美

霜降 末候

紅葉が深まるころ。「もみじ」は「揉み出(もみず)」が変化した言葉。草木の色が揉み出されるという意味で、昔は黄色に色づくものを「もみじ」といっていた。それが次第に、とりわけ美しく紅葉する楓をさすようになったというわけ。桜の開花前線は南から北上するが、紅葉前線は反対、北から南へ、山頂からふもとへと鮮やかな色にそまっていく。(新暦11月2~6日ごろ)

山装う、錦秋

山の表情も四季折々に変わっていく。色とりどりに紅葉した秋は「錦秋」と呼ばれ、色とりどりにおめかししたこの季節は山の晴れ姿。錦をまとっており、まさに有終の美といえる。春は「山笑う」、夏は「山滴る」、紅葉の秋は「山装う」、そして冬は「山眠る」と表現される。