京の旬感

寄稿20 「春雨じゃ、濡れてまいろう」

寄稿者:橋本繁美 春を連れてくる雨。これは行友李風 (ゆきともりふう) 作の新国劇『月形半平太 (つきがたはんぺいた) 』の京都・三条河原町で、主人公が傘を差し掛ける舞妓にいう有名な一節。小雨の中を傘なしで歩くときに、気どった言葉として使う...
男と着物 - 回想録 -

15 しばらく結んでやめた片ばさみ

投稿者:ウエダテツヤ ​片ばさみを教えてもらった私。(14 片ばさみを目撃する参照)なんと簡単な結び方かと驚きつつ、正直なところしっかり止まるのだろうかという疑心もあった。けれど当時きもの駆け出しの私にしては「周りで見かけない結び方」という...
旧暦のある暮らし

二十四節気 春分(しゅんぶん) 新暦3月21日頃

寄稿者:橋本繁美 「暑さ寒さも彼岸まで」といわれるように、寒く長かった冬ともようやくお別れ。一年で最も気候のよい時期を迎える。昼と夜の長さがほぼ等しくなり、昼夜の時間は逆転する春分の日。1948年「自然をたたえ、生物をいつくしむ」として制定...
京の旬感

寄稿19 京は「ぼた餅」

寄稿者:橋本繁美 春のお彼岸が近づくと「ぼた餅」が店頭に並ぶ。一般的に、春は牡丹が咲く頃なので「ぼた餅」、秋は萩の花で「おはぎ」といわれる。個人的に、京都寺町にある菓子舗・仙太郎さんの「ぼた餅」が好きだ。以前にもらったこの店の冊子(著者:直...
男と着物 - 回想録 -

14 片ばさみを目撃する

投稿者:ウエダテツヤ 片ばさみという結び方を目撃したのは確か2002年頃である。当時の上司(『片ばさみ上司』と呼ぶ)が展示会で着ているのを見て、なんだこの結び方は?と思った。 それまでは貝ノ口一辺倒であった。というかそれしか知らない。角帯の...
京の旬感

寄稿18 比良八講(ひらはっこう)、荒れじまい

寄稿者:橋本繁美 関西では「奈良のお水取り」終わらないと、春は本格的に暖かくならないといわれる。奈良県の東大寺二月堂では、毎年、3月1日から14日まで修二会(しゅにえ)がおこなわれる。修二会は人々に代わって罪を懺悔し、天下泰平や五穀豊穣を祈...
男と着物 - 回想録 -

13 着物屋だから着物を着た?

投稿者:ウエダテツヤ​ 2001~2006年、着物小売店で働かせてもらっていたが、その頃は着物屋の店員でスーツは珍しくなかった。今もスーツで接客される着物屋は一定数あるように思う。確かに洋服の方が動きやすかったり、お店の考えもあるのかもしれ...
旧暦のある暮らし

二十四節気 啓蟄(けいちつ) 新暦3月6日頃

寄稿者:橋本繁美 寒い冬を地中で過ごしていた虫たちが、そろそろお目覚めの頃。「啓」は戸をひらく、「蟄」はすごもり。暖かい春の陽気に誘われて、土の中にとじこもっていた虫たちが冬眠から目覚めることを表わした言葉です。これは虫に限らず、人間も同じ...
枡儀のいろは

寄稿17 手づくりマスクのぬくもり

寄稿者:橋本繁美 ある人から、宅急便で小包が届いた。開けてみると、特産物の果実と手づくりのジャム、さらには「手づくりのマスクと手紙」が添えられていた。最近、連絡もとれていないだけに、恐縮するばかりで感謝のしようがなかった。感激とともに、筆不...
男と着物 - 回想録 -

12 単衣で失敗

投稿者:ウエダテツヤ 2003年頃。小売店で働くある日、先輩が安くてよく分からないアンサンブルを見つけた。 アンサンブルは着物と羽織が同じ生地で仕立てる前は一つに繋がっていることが多い。反物よりはずっと長いが、疋物(二反分の長さ)ほどはなく...