寄稿1 奄美探訪記と大島紬 1 はじめての奄美大島。

奄美探訪記と大島紬寄稿記事-ことばの遊園地-

 寄稿者:橋本繁美

いまから20数年前、山歩きの師匠・上田真三さんから「一緒に奄美大島へ行こう」と声をかけてもらったのが、この話のはじまりです。何の知識も持たない僕は、奄美といえば南の島。白い砂浜、透きとおるようなマリンブルーの海。どこか哀愁漂う旋律が心に響く島唄。そんなイメージだけが脳裏に浮かびあがっていた。とにかく、地図を広げて位置確認と本で下調べ。おっ、沖縄と本州のほぼ真ん中か、えっ、そこが鹿児島県内とは知らなかったな。ま、なんと、お恥ずかしい話。

毎年恒例の祇園祭の山鉾巡行も終わった7月の末、3泊4日の旅。朝はやく、京都駅八条口のアバンティ前からリムジンバスで大阪伊丹空港へ向かった。内心、久しぶりのフライトと、はじめての奄美大島に胸が高鳴るばかり。そして、いよいよ出発。僕たちを乗せた日本エアシステム(JAS)の飛行機はITAMIからAMAMIへと飛び立った。見る見るうちに大阪が小さくなって、緑、山、雲の上へと運んでくれている。いくつになっても、飛行機はうれしい、愉しい乗りものだ。窓には明るい青空、ゆっくりと流れる白い雲。乗り心地のせいか、いつの間に瞼をとじて夢の中。機内のアナウンスが、奄美空港への着陸態勢に入ったと流れている。窓の下には海と、島が見えはじめている。だが、まだ空港は見えない。どうやら飛行機は空港をめざして旋回しているようだ。

奄美空港に無事到着。シートベルトを外し、荷物を下ろして通路の流れを待つ。「やったぁ!遂に来たぞ、奄美大島」と心の中で叫びながら、空港の通路を歩く。出口に近づくと、出迎えてくれるように鉢植えの亜熱帯植物が目につく。陽射しは強い、どこからか海の匂いを感じ、南の国に来たんだなという実感が湧いてきた。空港には、ありがたいことにお迎えの車が用意されていた。それに乗り込んで車は走り出した。時間は午前11時を少し過ぎていたように思う。目に映るものすべてが、本州では見られない珍しい花や木々。なんとまぶしい輝き、新鮮だ。