寄稿114 古い西洋建築が残る三条界隈 / 京を歩く

京を歩く寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

若い頃は、三条通はあまり歩かなかった。いや、その魅力を知らなかったからだろう。新京極や寺町京極の突き当りが三条通だ。昭和63年(1968)10月、三条通高倉に京都府文化博物館(文博)ができた。私の師匠、今西慧(コピーライター)さんが力を入れていたことも後で知った。今はなくなったが図書室や映画関係(こちらは健在)のことでよく利用していた。年間パスポートみたいなものもあった。最近はどうなんだろう。3階 フィルムシアターでは、京都府のもつ貴重な映画資料も大切に保存されており、監督特集や季節ごとにテーマを決め、よく公開されている。この立派な建物の別館は、歴史ある旧日本銀行京都支店だったこともあり、独特の情緒と風情を漂わせている。そこには、京都らしいショップが入っていたり、いろんな催しが展開されていたりする。本館の方も年間催事や常設展など、いつ訪れても楽しい。祇園祭関係の展示でもお世話になっている。 

以前は、この近くに行きつけのお店「フレンチトマト」があって、よく仲間で立ち寄ったものだ。現在は、島原に近い実家に戻ってお店をされている。小林ご夫妻、いつ行ってもあたたかく迎えてくれるのが嬉しい。もちろん、料理はどれを頼んでも美味しい。この店でミュージシャン・佐竹俊郎さんに会わせてもらったことも大きい。佐竹さんとはアリスが歌って有名になった「今はもう誰も」。その作詞作曲を手掛けた人で、もとはウッディーウーのバンドで歌っていた人だ。コンサートにもよく行っていた。人柄が大好きな人だったが、若くして亡くなってしまった。その意思を継いで、毎年5月ごろにダイムコンサートがテルサホールで開催されている。

文博を出て、東洞院まで来ると中京郵便局。こちらの赤レンガ造りの美しい外観も凄い。1871年(明治4年)の郵便制度発足時に、東京、大阪と共に設けられた郵便役所を前身としており、日本で最も歴史のある郵便局のひとつだそうだ。ここは京都中央郵便局とおなじく休日や夜遅くまで郵便物を取り扱ってくれるので実にありがたいところだ。

そして少し北に上がったところに、新風館がある。いまではホテルになってしまったが、かつては中央に大きな広場があり、友人の福井秀彦くんがよくコンサートなどのイベントをやっていたのが懐かしい。京野菜の歌を使ったときも、NHKやKBSのテレビ中継でもお世話になった。ギャラリーとして、京都デザイン協会もお世話になった。烏丸通から入るのが一般的なのかな。

京都府文化博物館