寄稿115 古い西洋建築が残る三条界隈 / 京を歩く

京を歩く寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

三条烏丸のみずほ銀行から西に向かうと、1555年の創業以来、美を創造し続けてきた千總本店がある。ギャラリーは、千總の所蔵する作品の数々をはじめ、伝統と創造、工芸の未来といった美が展示されている。その敷地には三条烏丸御所跡の石碑がある。平安京左京四条三坊九町に位置した三条烏丸御所は、三条烏丸殿・三条桟敷殿ともいわれ、三条南殿の名で総称することもあったと記されていた。

さらに西へ行って室町通を横切ると京都医健専門学校があり、昨年、196年ぶりに祇園祭後祭山鉾巡行に参列、復興した鷹山のまちに辿りつく。その山田純司理事長の会社「山音」の前を歩く。よくここから新町通を通って御池通へと巡行したことに驚く。というのは、現在は三条新町の角はコンビニや駐車場などで山鉾を引っ張る綱の場所がごくわずかだからだ。今年の夏こそ、後祭の巡行出発を観に来ようと思う。

新町を下がった三条町に、若い時からお世話になっているカメラマンの井上成哉さんの仕事場がある。そのスタジオでよくモデル撮影や、市内のあちこちを撮影してもらった。昔から出版社の仕事もされ、今では新町通の保存や鉾町の世話役なども兼ねて頑張っておられる。そういえば、綾傘鉾保存会の会議もその近くにあった鰻屋さんの二階でやっていたのを思い出した。初代の片山会長が元気だった頃だ。

釜座通の角にある京信三条店、向かいには、茶の湯釜「大西清右衛門美術館」を通り過ぎる。西洞院通まで来ると右に郵便局。斜め向かいには八百屋さん。この近くに、仲間のデザイナーが事務所を構えていたこともあり、みんなでよく昼めしを食べ歩いたものだ。そんな懐かしい場所だが、当時のお店はほとんどない。友人は多くのスタッフ抱えて三条堺町のビルで頑張っている。そして、歩けば三条通は堀川に出る。

烏丸三条