寄稿134 いちばん身近な綾小路通/ 京を歩く

京を歩く寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

はじめて「綾小路」を歩いたとき、なんて綺麗な名前なんだと思った。それまでクルマで何度も通っていたと思うが、じぶんの足で歩いてみて通り名をこれほど意識したことはなかった。というのも、最初の仕事場は蛸薬師通室町だったが、次に東洞院通綾小路に引越した。そこから綾小路通をよく使うようになったのがはじまり。それから烏丸を渡って綾小路通室町西の善長寺町へ移転。祇園祭綾傘鉾の町内にたどり着いたという訳。

四条通の喧騒にくらべると意外なほど静かな綾小路通。東は寺町通から西は壬生、西大路通、天神川を越えたところまで続く。ここは上田会長の枡儀ビルのあるところ。毎年、この時期は祇園祭綾傘鉾が立って賑わう。ことしもその季節となった。室町通と新町通の善長寺町。余談だが、寺名が付いているのは豊臣秀吉による京都改造で東に寺院が集められた関係から。今は新京極に善長寺がある。私がここに来た頃は、まだ京町家が少しだが残っていたが、いまはマンションと、景観はすっかり変ってしまった。

町内にある大原神社にこれから大きな赤い提灯が飾られる。7日は綾傘鉾の稚児社参、13日に鉾立て、14日から宵山、16日は日和神楽、17日に前祭山鉾巡行となる。この夏も暑く、熱くなる祭り人たち。近くには鶏鉾、白楽天山、船鉾、岩戸山があり、新町を超えると綾小路通には伯牙山、芦刈山、油天神山と続く。まさに鉾町のど真ん中。ことしは4年ぶりの姿での祇園祭だけに盛りあがること間違いなしだ。