寄稿140 花屋が見当たらない花屋町通/ 京を歩く

京を歩く寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美 編集:枡儀

西本願寺の北側に通る花屋町通。堀川通を東に渡り、東本願寺までは花屋町通と旧花屋町通の二つに分かれる。両通りとも仏事に必要なものならなんでも揃う仏具屋町といえる。

寛永14年(1637)の『洛中図絵』にはすでに「花屋町筋一丁目」とあり、『京都坊目誌』によれば、通り名の由来は「花を売る店が多かった」からと書かれている。お盆の時期に歩いてみると、ここは一年を通して数珠や仏具、法衣、仏教書を扱う老舗が軒を並べる。それぞれの店は欅の彫刻看板は実にみごとで、長い歴史を感じる。

大宮通を西へ行くと、かつての花街、島原遊廓にたどり着く。いまも輪違屋や角屋が風情ある佇まいを見せている。花屋町通は、阪急西京極駅、天神川まで続いている。個人的には、若い頃、西大路通花屋町を下がったところに職場があった関係で馴染みのある通り。市場が近かった関係で、小型運搬車「ターレ」(ターレットトラック)が走っていた光景を思い出す。