寄稿14_1 「寒おすなあ。よお、お参りやした」

京の旬感寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

一年の始まりに、心密かに願いをかける初詣。本来なら、大晦日から元旦にかけて、京都の神社やお寺では新年を祝う参拝者で賑わうはずだったが、ご存知のとおりコロナ禍で静寂そのものだった。というのもご縁あって、新春早々から「お稲荷さん」の総本宮、京都・伏見稲荷大社で、白装束に身をつつみ、神聖なるご祈祷の受付けを体験させてもらいました。朝、7時過ぎに稲荷駅に到着。ことしは三密を避けるため参道の出店もなく、深夜の電車もなかったため、参拝者もかなり少なく境内は空いていました。ここは日本全国から来られるので、ご祈祷受付けで目にする遠方からの参拝者には驚かされます。前日から京都入りされている方から、朝早くに出てきたとおっしゃる方など、毎年お参りに来られる方も多く、ご祈祷の受付けはもとより、手順をよくご存知で、こちらの方が恥をかくこともありました。商売繁盛、家内安全、心願成就と初穂料をお納めいただくと、「ようこそ、お参りくださいました」というところを、すぐに「ありがとうございます」と出てしまうのは素人、いけません。 ことばづかいに気をつけながら、とてもいい体験をさせていただきました。「寒おすなあ。よう、お参りやした」とベテランさんの声が心地よく聴こえてきます。来年からはいつものように、大勢の参拝者で活気あふれる初詣に戻ることを願っています。2月3日の初午大祭は、たくさんの参拝者に来てほしいな。その報告は、また後日に。