寄稿21 さくら咲いてはる・エイプリルフール

京の旬感寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

ことしは例年よりも、10日もはやく開花した京の桜。王朝の栄華をしのばせる京都御苑の左近の桜、円山公園のみごとな枝垂れ桜、御室仁和寺の桜など、京都には桜の見どころが実に多い。まさに、あちこちの桜が咲いて「都ぞ錦なり」。心まで「はんなり」と色づいて春爛漫、一年で最も華やかな月となる卯月です。そういえば、コロナウイルス感染拡大のため、平安神宮の枝垂れ桜コンサートも中止。さみしいね。来年こそは、桜の下でのんびりと「お花見」ができることを願いたい。

エープリル・フール

4月1日は、エープリル・フール(April Fools’ Day)。別名「笑いの祭日」といわれ、ご存知のように、この日は正午までなら、嘘をついて人を騙してもよいことに。いえいえ、嘘はいけません、正直に生きなさい。そんな風に育った日本人なのに、最近はやたら嘘が多い世の中。困ったものです。人を騙すなんて最悪ですよ、みなさん気をつけください。

話を戻して、エープリル・フール「4月馬鹿」。嘘をついて面白がっていたのは幼少の頃かな。R・ブラッシュの「西洋迷信故事物語」によると、その起源と目的に関しては諸説あるみたいで、ある人はノアの洪水に起源するとか、またある人は古代ローマの農神祭に結びつくとか、さらにある人はキリスト受難上の特別なできごとを記念する日だとする説も。結局は、16世紀に太陽暦を採用したフランス人が、元日を1月1日に繰りあげたため、もとの元日、4月1日が忘れられず、馬鹿騒ぎだけが残ったためだという説に落ち着いたようです。日本にこの風習が伝わったのは大正時代のこと、「万愚節」ともいうそうです。

春のをどり中止

例年なら、花街に“春のをどり”を告げる雪洞(ぼんぼり)が立ち並ぶと、春の訪れを感じ、明るく華やかな気持ちになります。「ヨーイヤサー」の掛け声で、祇園に春を呼ぶ“都をどり”、 先斗町の“鴨川をどり”、宮川町の“京おどり”、上七軒の“北野おどり”と、京ならでは芸妓、舞妓らがの艶やかに踊りを繰り広げます。しかし、ことしも残念ながら、コロナ禍で見送りとなった。