寄稿31 祇園囃子が聴こえる

京の旬感寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

もうすぐ7月。1日の吉符入り、2日くじ取り、3日八坂神社へ棒振り囃子奉納…。いつもなら祇園祭一色に染まる京都だが、残念ながら、ことしも祭りのハイライトといえる山鉾巡行は中止となっている。しかし、先日(6月17日)、祇園祭山鉾連合会と八坂神社が記者会見で「コロナ感染対策をしたうえで、山鉾建てが可能な保存会には、建てることを認める」と発表した。33ある山鉾のうち、18の保存会が山鉾を建てることに。なっている。私たちの綾傘鉾は、7月13日に枡儀さんの前に姿をあらわす。

山鉾の組み立ては「作事方」と呼ばれる職人が担い、釘を使わず縄だけで部材を固定する縄がらみという技がある。こういった技術継承や装飾品等の傷みなどの点検、虫干しの意味も込めて、今回の鉾建ては大きな役割を秘めているといえる。山鉾が建つことの喜びは、保存会関係者のみならず、多くの人々に元気をもたらすといえる。宵山の間、午後7時で駒形提灯等も消し、お囃子もなども終えることになっている。基本的には、祭りは地元、地域だけのもの。それだけに、関われる有り難みはひとしおである。こんどの日曜日(6月27日)は厄除け粽づくり。佛教大学や華頂短大の学生さんも手伝いに来てくれる。心配なのは当日の天気。祈るしかないか。