寄稿65  美女に囲まれて ・木芽月

京の旬感寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

美女に囲まれて

寒い日が続いている。さすが2月を別名如月(きさらぎ)というだけあって、寒くてさらにキヌを着るという意味がわかるような気がする。語源はキヌサラ、衣更着と書いたそうだ。体の芯まで冷えるこの時期に、これでもか言うくらいの別嬪さんばかり、いや素敵な美女(ひと)に出逢える話。といっても絵画の世界。いま、美しきミューズの世界と題し、『鶴田一郎新作美人画展』が京都大丸店ギャラリー(6階)で開催されている。かつて化粧品会社(ノエビア)のCMで大ヒットを飛ばしたイラストレータ―、日本画家だ。彼の描く切れ長の目の美女は見るものを虜にするほど妖しいほどの魅力がある。会場に足を運ぶと、その世界が一気に広がる。どうしてここまで魅力的な女性が描けるのだろうと、毎回、鶴田氏の絵に惹きつけられてしまう。京都に仕事場を移されてから、祇園祭綾傘鉾のご縁もあって、親しくさせてもらっている作家さんだ。それにしても、今回も美人女性ばかりで別世界に誘う。見逃せない展覧会となっている。

木芽月(このめづき)

春が近づくにつれ、草木が芽を出しはじめることを「草萌え」「下萌」という。庭先の木々に目をむけると、日に日に芽がふくらむのが楽しめる。この芽が成長して若葉や花を咲かせるのには時間がかかるが、春のささやきが聴こえるきがする。そう、瑞々しい木々の芽は、力強さと美しさを感じさせてくれる。まさに如月には「木芽月」の名称がよく似合う。