寄稿86_2 扇(おうぎ)と団扇(うちわ)

寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

扇の語源は「あふぎ(あおぎ)」。扇ぐものの意。扇はもともと日本で作られたもので、それが中国へ渡って扇子と呼ばれ、その言葉がまた日本に伝わったそうだ。扇は中国にとどまらず、ヨーロッパにまで伝わった。扇は風を起こすためだけではなく、穢れなどを祓うためにも扇ぎ、日本の儀式や芸能には欠かせないものとなった。特に「末広」、行く末が栄え、広がっていく縁起のよさが喜ばれる。一方、団扇は中国で生まれたもの。日本名の由来は「打ち羽(は)」。もっともとは蚊や蠅を打ち払うものだったとか。軍配団扇や天狗団扇など、打ち払うという意味が込められていたのかも。優雅な暮らし「左団扇」、憧れるのは誰も同じかな。