二十四節気 雨水(うすい) 新暦2月19日頃

旧暦のある暮らし寄稿記事-ことばの遊園地-

 寄稿者:橋本繁美

「陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となれば也」

『暦便覧』より

空から降るものが雪から雨へと変わり、深く降り積もった雪も解けはじめる。その水分で枯れていた土が潤いを取り戻し、草木がよみがえりはじめる頃という意味。実際には、まだ雪深いところも多く、これから雪が降り出す地域もあるが、ちろちろと流れ出す雪解け水に春の足音が感じられる。まさに雪ほどける頃、春の足音といえよう。ちょうど春一番が吹く時期でもあり、昔から農耕の準備をはじめる目安とされてきた。寒の中頃から立春までは冬土用のため土に触れず、立春から二週間ほど過ぎて、やっと土に触れることができるという。日本の四季には常に、五穀豊穣の祈りが人と寄り添っているのがよくわかる。

雪汁(ゆきしる)

♪雪がとけ解けて 川になって 流れて行きます…(キャンディーズ「春一番」より)。山に降り積もった雪が、ゆっくりと解け出し、田んぼや畑、そして人の心をうるおす雪解けの水。またの名は雪消(ゆきげ)の水。雪汁で川や海が濁るさまを雪濁りというらしい。となれば、♪もうすぐ春ですね。

春一番(はるいちばん)

立春を過ぎて、春の到来を告げて最初に吹く南寄りの強い風のこと。石川県能登地方や三重県志摩地方から西の各地、また壱岐の島の漁師たちが呼んでいた風の名前が、歳時記や新聞で取り上げられて広まった。春一番の後、寒冷前線が通過して急に寒さがぶり返すことが多い。

菜花(なばな)

春の訪れを告げる緑黄色の野菜。葉はやわらかく、緑があざやかな菜の花。開花する前のつぼみに含まれるビタミンCや鉄分、カルシウムなどの栄養豊富で、ほろ苦さが体の免疫力を高め、気持ちを和らげる効果があるといわれる。