寄稿者:橋本繁美
清明 次候
「鴻雁」は大きな雁をさし、燕とは対照的に、春になれば北へと帰っていく渡り鳥。冬鳥の雁は秋に日本にやって来て、あたたかくなると北へ帰っていく。以前にも紹介したが、雁は木切れをくわえて渡って来るといわれ、それは途中の海上で羽を休めるためのものだとか。陸に着くとそれを落とし、春にまたそれをくわえて飛び立つ。そんな伝説が残っている。浜辺に残った木切れは死んで帰れなかった雁のもの。地元の人々はそんな雁たちをあわれんで、その木を拾い集めて風呂を焚いて供養したという「雁風呂(がんぶろ)」のはなし。(新暦では、4月10日~14日ごろ)