寄稿32_2 旅番組に感動した朝。

奄美探訪記と大島紬寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

写真は奄美のマングローブ原生林(参考)

毎週土曜日の朝8時になると、ABCテレビ(テレビ朝日系列)番組「旅サラダ」を楽しみに見ている。ご覧になった方も多いと思うが、6月26日のゲストは京都が生んだ俳優・佐々木蔵之介さん。ロケーション先が、これまた大好きな奄美大島の大自然にふれるという旅番組。“東洋のガラパゴス”と呼ばれるほど豊かな自然にあふれる奄美大島。彼自身も行ってみたかったというマングローブの原生林をカヌーで探検する。マングローブは植物の名前ではなく、海水と淡水が混ざり合う「汽水域」に生える植物の「総称」。その代表としてメヒルギとオヒルギがあり、災害から人々を守る役割がるとガイドさんも解説を聞きながら、神秘的な緑のトンネルにカヌーを進めながら、大自然と一体になって興奮に近い感動を覚えていく。見ていても、その体感が伝わってくる。

カヌーを降りて、こんどは1m前後の巨大なさやをつけるモダマ(マメ科のつる性木)に驚く。モダマの実は世界最大の豆類といわれ、「ジャックと豆の木」のモデルともいわれているそうだ。さらに森の奥へと進み、滝を眺めていると、ガイドさんの計らいで奄美の島唄を生で聞かせてもらい、身が震えるほどの感動を覚えた歓ぶ。亜熱帯の奄美では目にする植物をはじめ、自然が作り出す音、すべてに心が動かされる。

そして奄美といえば、サトウキビ畑。そのサトウキビから作られる奄美の名産「黒糖」が次の舞台。昔ながらの製法で作る工場を見学し、そのできたてを味わい、純粋な黒糖だけにコクと旨味に大感激。紹介の順番は違うかもしれないが、こんどは龍郷で“泥染”を体験。泥染とは、枡儀さんの主力、大島紬を染める大切な染色技法のひとつ。そこで工房を訪ねて、実際に泥の中に入って泥染を体験する。足で泥をこねながら、手で何度も染めた布を泥につけて揉むの繰り返し。Tシャツとカバンを染めて大満足の様子。デザイン的にも素敵でしたよ。こんどは大島紬にもふれてほしいな。

翌日は、海上タクシーで加計呂麻島へ。樹齢300年以上のデイゴの木が連なる並木道。樹齢400年をこえるともいわれるガジュマルや、島の名所を訪ね、最後は加計呂麻島でいちばん有名なビューポイントへ連れて行かれ、雄大な自然に圧倒される蔵之介さん。奄美の魅力がたっぷり伝わってきた番組「旅サラダ」でした。嗚呼、もう一回見たい。いや、何度でも見たいと思う内容。さすが、構成も演出も最高と机を叩いて歓んだ朝でした。