寄稿56 終い弘法、終い天神・冬の夜空

京の旬感寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

終い弘法(しまいこうぼう)、終い天神(しまいてんじん)

京都の人なら、「弘法さん」(東寺)の縁日は21日と、「天神さん」(北野天満宮)の縁日は25日と知っている。弘法大師の月命日である毎月21日が「弘法さん」。菅原道真公の誕生日と逝去した日が共に25日のことから毎月25日が「天神さん」。いずれも、露店には古着や骨董品、陶器、ガラクタの類までさまざま。師走は「終い弘法」、「終い天神」として、正月準備の品を扱う露店がずらり。数の子やしめ縄などを買い求める人々で大賑わい賑わいをみせる。

京のことわざに「弘法さんが雨なら、天神さんは晴れ」がある。逆に「弘法さんが晴れなら、天神さんは雨」ともいわれるのは、「天気の周期変化は、春秋によくみられる低気圧と移動性高気圧が交互に通るためにおこるらしい。このとき低気圧が時速約40キロで約5千キロの間隔で進んでくれば、5日ごとに低気圧の雨が降ることになる」そうだ。晴れたとか、雨が降ったことで、勝ち負けを決めるなんて面白いと思うのは私だけではないはず。

冬の夜空

一年でいちばん昼の長さが短い日、冬至(12月22日ころ)。昼の長さがいちばん長い夏至に比べて5時間近く短い計算になる。となれば、冬の夜空を見上げて夜を楽しもう。澄みきった空にまたたく星屑の美しさに身も心もうっとり。どこまでも静かな冬の夜。「冬北斗(北斗七星)」「冬太白」(金星)」「冬銀河(天の川)」など、他の季節に見ることができる星でも、冬に見る星は格別の思いがする。凍てついた夜空に浮かぶ月も同じく、その光さえ神々しさを感じるのは寒さのせいばかりではない。冷たい風に磨き抜かれたような星や月の輝きを今宵、たっぷりと。