寄稿61 ベストを探せ・南天

京の旬感寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

ベストを探せ

毎朝、起きるのがつらいこの寒さ。暦の上では大寒、寒さのピークに達しようとしている。といっても京都の寒さはこれからの2月がいちばん厳しい。ところで、チョッキ(古~)をご存知だろうか。現在では、チョッキといわずベスト(ヴェスト)と呼ばれている。かつて、スーツといえば、上着とベストとズボンの三つ揃えがおしゃれだった。いつの間にか、上下服が、軽快でカッコいいのか、ビジネスマンには人気だ。やぼったいベストは絶対に避けたいが、ピシッと決まった三つ揃えはサマになる。胸を(お腹も)しめられると背筋がピーンと伸びて、何となく改まった気持ちになるから不思議だ。そういえば、フォーマルスーツやモーニングには、ちゃんとベストが付いている。何事にもベストを尽くせ。スーツに限らず、ジャケットとともに、お気に入りのベストを探してみたい。なければ、オーダーという手もあるか。

南天

冬空の下。小さな赤い実をつける南天。「難を転じる」という意味に通じることから、縁起がいいとされ、正月飾りやおせち料理に用いられる。白い実をつける白南天もあり、漢方ではその白い実を干してせき止めの薬に用いられるそうだ。南天の木で箸を作ると諸毒を消すとか、杖にすると南天杖といって長寿を保つなどともいわれている。